プロダクトノート
平野 友康
デジタルステージ代表取締役。1974年生まれ。どこにもないソフトウェアを世に出すことを目指し10年。構想から開発まで自ら行っている。著書に、その独特な開発手法を綴った手記「旅する会社」(発行:アスキー)がある。また、オールナイトニッポン・金曜一部(ニッポン放送)のメインパーソナリティーの経験や、劇団第三舞台から独立した経歴から考えるに、デジタルよりはアナログの人。

他のソフトだと感動的にならない「不思議」。
前回のバージョンを出してから3年経っていたので、その間に似たようなソフトでもっと高機能なものがいっぱい発売されていた。
昔からLiFEを知っていた人たちからは、「あんなに露骨に真似されて嫌じゃないんですか?」と聞かれることが多かったけど、それよりも僕が気になっていたのは、LiFE以外のソフトだとどうがんばっても感動的な作品をつくれないことだった。
LiFEの10倍多機能で10倍細かく設定できるのに、どうしてもダサくなってしまう。僕はそのことが気になって気になって仕方がなかった。
なぜかというと、僕自身が新しいフォトムービーソフトが必要になってしまったからだ。個人的なことなのだけど、この夏、僕に初めての子供が生まれるのだ。子供といえばフォトムービー。なのに良いソフトがない。
う〜ん、こりゃ、LiFEをバージョンアップさせなきゃダメだっ!夏に間に合わせよう!・・・と。
便利なソフトじゃダメなんだ。魔法じゃなきゃ!
そんなわけで『作り手』としてではなく、『使い手』としてもう一度、どんなソフトにするのが良いか考えてみる。
多機能路線は絶対に違う。なぜなら多機能だからといって、良い作品がつくれるわけでは絶対にないのだ。LiFEでがんばってきたのは「おまかせ機能」。写真を入れて、音楽を選ぶだけで、あとは勝手にソフトがおまかせで感動的な作品にしてくれる。
つまり、「魔法」。
究極はボタンを1回ポチっとするだけで、思い通りのフォトシネマになってしまうことがゴールなのだ。
そもそも細かく設定できたってセンスがないとダメで、センスも含めての魔法をソフトに詰め込むことが、何よりも大切なのだ。しかも、何時間、何日も編集作業をするほどパパは暇じゃない(んだろう、多分)。そこでバージョン3では「本気で泣ける」「本気で映画みたい」と思えるようなフォトシネマが、本当に数分でつくれるソフトにしようと思ったのだった。だって、パソコンの前でカチカチやってる時間よりも、一緒にワイワイ遊んでいる時間が多いほうが絶対に良いハズだもの。

魔法使いたちよ、集まれ!
映画のように写真を観よう・・・
このバージョン1のころから変わらないキャッチコピー。
今度のバージョンでは、さらに映画っぽくして、歓声があがるような出来にしたい!
そこでスタッフも実際に映画に携わったことのあるクリエイターや、音楽も映画音楽を手がけられる音楽家に声をかけていった。
「そこまでやるか?」と言われるぐらいの議論と試行錯誤をしていって、開発は目に見えない苦労の連続になった。
文字ひとつ出すのにもいろいろな映画を研究し、予告編を何十本と観る。
どういうタイミングで何が出るとドラマチックなのか・・・。
「こんなに頑張ってもユーザーさんたちに気づいてもらえるのかな?」と疑問に思ったこともある。
でも、手を抜かずにがんばってこだわった積み重ねこそが「魔法」になるのだと確信していた。
ハイビジョンだと写真の魅力は100倍になる。
なにしろ一生の思い出になるフォトシネマ。
奇麗な写真を奇麗に出したい!ということで、ハイビジョン化は『絶対』だった。
でも作業をすすめていくうちに、ハイビジョンならではの苦労も出てきた。
当然解像度があがればやれるデザインの幅も広がる。でも逆に、奇麗すぎて手を抜けないということでもある。写真が奇麗になって、魅力は100倍になる一方で、デザイナーの苦労は10倍に(笑)。大味なデザインはすべてボツになり、写真の魅力が生かされるデザインというものを研究する日々が続いたのだった。

涙が出るフォトシネマには、ストーリーがある。
僕らが今回こだわったひとつに、「シナリオ」がある。
過去すべてのフォトシネマ作品において「名作」と呼ばれるものは、すべてテロップが入っていてストーリーを感じさせるものばかりだった。
つまり写真とテキストの組み合わせが上手なものが、感動を生むフォトシネマなのだ。
でもそれって、実はすごく難しい。
だって、「ストーリー」を考えて、さらにそれを「文章」にできて、それに加えて「タイミング」とか「写真の組み合わせ」とかまでできるなら、その人はきっとプロだ。
そのプロの技を、誰もができるように搭載したのが「おまかせシナリオ」。
映画の脚本を書くように、誰もが写真の解説を書くだけで、ストーリー仕立てのフォトシネマになること(しかも簡単に!)。
これこそが、僕らが今回のLiFEに込めた「魔法」だった。
写真に音楽が流れるだけで「おぉ!」と感動してしまうように、そこにメッセージのテロップが入ると、さらに「おぉぉ!」と感動してしまうはず。是非、体感してみてほしい機能です。

音楽は絶対に生楽器の生演奏がいい!
ネット時代のLiFE3。だからフォトシネマ作品の発表の場としてYouTubeとの完全連動を盛り込んだ。
そのことによって音楽もオリジナルでたくさん用意する必要が出てきた。
サントラと言えば生楽器。弦楽器の演奏はかかせない!
ということで、オーケストラのオリジナル曲をはじめ、レコーディングの日々が続いた。
本当の映画のサントラに負けない名曲を生み出してほしい!という無茶苦茶なオファーに応えてくれた音楽家のみなさん、本当にありがとう。
映像編集ソフトじゃない。思い出再生機なんだ。
とにかく、感動的なフォトシネマがつくれること。
このソフトを使った人が、自分でつくったフォトシネマの良さに自分自身がびっくりしてしまうこと。
そしてうっかりホロっと泣ければ大成功だ。
それこそがこのソフトでできることのすべてであり、あなたが誰かを感動させることこそが、このソフトの最大の機能なのだと思う。
映像編集ソフトは「編集すること」が機能だけど、LiFEは「思い出を素敵に<再生>すること」が機能なのだ。
ごく個人的な動機で開発をはじめたLiFEだったけど、開発を進めていくうちに、いろいろな人たちの、いろいろなフォトシネマに対する想いが分かってきた。今更かもしれないけど、この7年間で無数に生まれたフォトシネマのそれぞれに、ものすごくものすごく深い思い入れがあって、それが僕にはまるで無数の星々のように思えたのだった。
ソフトを開発している側からすると、それぞれのフォトシネマは単なる「ファイル」でしかない。でも、ひとつひとつに目をやれば、そこにはわずか数分とは思えないドラマがあり、その人、あるいはその周囲の人たちにとっては、かけがえのない作品だったのだ。
主役は写真の中に出てくる人たちであり、監督はこのソフトを手にとるあなただ。
すべては、映画のように写真を観るために。
このソフトが、無事にあなたの手に届きますように。
フォトシネマのデザインをした人たち
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中市好昭 |
大島千恵 |
トリコ |
YAKO |
音楽をつくった人たち
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ワタナベ ヒロシ |
リナリナ |
田丸智也 |
パッケージをデザインした人たち
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