片岡さんが文字の世界に入ったきっかけは何だったのでしょうか?
一番最初はアルバイトでやっていたレタリングです。当時は大学闘争などがあって、今後どうしようかと考えながらぶらぶらしていました。そしたら、「暇なら、ここでバイトでもしてきたらどうだ」と、父の知り合いのレタリング事務所を紹介されました。それがきっかけですね。昔は晴海辺りで年に何回か展示会が行われていて、そこで使う新商品の説明パネルなどを描いていました。当時、印刷するほどの枚数が必要でないものは、手書きで描いていたのです。もちろん最初からそれをやらせてもらえたわけではありません。まずはひらがなをひたすら書いて、あとはパネル貼りをやっていました。
それがなぜ、デザインに興味を持つようになったのですか?
そのレタリング事務所で3年くらい働いていたのですが、「ここに明朝体をこの大きさで」とか言われるがままに描いているうちに、疑問を感じるようになったのです。「ここはもっと大きくしたほうがいいのになぜしないのか」とか、デザイン的なことに対する疑問ですね。そういうことはデザインを知らなければできないんだろうと感じて、デザインもやっている会社に転職をしました。