PhotoCinema Award 2010 | フォトシネマ・アワード 2010

OLYMPUS PEN presents PhotoCinema Award 2010

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グランプリ

桜の並木道

作:aica 制作期間:3日3時間
楽曲名:sakuramausora 使用カメラ:OLYMPUS/E-PL1 E-30

作品紹介:
幼い頃から親しんできた場所の桜を形にしたいと思ってフォトシネマに挑戦しました。
一眼デジタルを使って動画を撮ったり、フォトシネマを作るのは初めてです。

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審査員コメント

一見シンプルに見えて、実は写真それぞれが物語を持っていて、全体でひとつのハーモニーを築いている。一度魅入ってしまうとそこにはただの桜の写真たちという以上のメッセージと深みがあり、日常を見つめ直すフォトシネマアワードにふさわしいと思った。(平野友康)

インタビュー

デジタル一眼レフを使うようになってからは3年、動画やフォトシネマを使ったのは今回が初めてというaicaさん。
処女作品のテーマは「桜」と言うよりはむしろ「地元の風景」だそうですね。

——この桜並木は、子供の頃から馴染みのある地元の桜で、元々は工業排水など
が流れ周辺は整備もされず、桜が咲いても憩いの場とは言いかねる状態でした。
その後、地元の方々のおかげで遊歩道も整備され、きれいな並木道になったのです。
この風景をこれからもずっと見続けていたい、ずっと大事にしていきたい、という思いを込めて作りました。

それにしても、様々な視点・角度から桜が撮影されていて、フォトシネマを立体的にしています。

——昨年、写真仲間との写真展で”桜”をテーマにしたのでたくさん桜の写真を撮りました。その時に、いろんな画角を意識して撮影しました。
動画はフォトシネマ作成を意識して動きのある被写体を考えて撮影し、作品に使うことにしました。
動画は、静止画には伝わりにくいその場にいるような空気感が伝わる気がします。
初めてだったので、試行錯誤の中での撮影で難しかったのですが、色々撮ってるうちに楽しさが出てきました。

フォトシネマの名脇役である音楽がまた、作品にぴったりです。

——今回使用した「sakuramausora」という楽曲は、インターネットで春や桜のイメージに合うフリーの曲を検索して、偶然、出会ったものです。
曲のタイトル、リズム、曲調が、写真や動画と合わせてみたら、イメージ通りでした。この曲の作者の方にとても感謝しています。

作品が完成したとき、いかがでしたか?

地元の桜の写真なので、出来上がりを周りに見せたときには、色々話しながら楽しんで見てくれたのでうれしかったです。
今回は、地元の風景がテーマでしたので、次は”旅”のフォトシネマを作ってみたいと思います。

作品の細部にまでこだわりを持って制作に挑んだのも、地元の風景を大切に残していきたい、という思いがあってこそ。
これからも素敵なフォトシネマをつくってください。ありがとうございました。

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準グランプリ

親父の足跡

作:新井秀明 制作期間:3日12時間
楽曲名:TM:Slow_LiFE 使用カメラ:NIKON/D80

作品紹介:
父親の80歳の誕生日を記念して制作しました。親父とおふくろの昔の写真を実家から拝借してスキャンしたり、お祝いの言葉を動画で撮影したり、楽しく制作させて頂きました。単なる写真と違って感動度は120%、あの頑固おやじの目に涙がきらりと光った瞬間は私にとっても忘れられない思い出となりました。ありがとう。フォトシネマ。次はおふくろの番かな。

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審査員コメント

語りかけるフォトシネマ。手作り感と、本当のこれぞ「人生」。ライフというソフトにとって、こんなふさわしいフォトシネマはないと思った。ドラマでもない、小説でもない、本当の人生。数分間に収まりきらないものが、ここから溢れている。(平野友康)

インタビュー

これぞ手作りという心が温まる作品ですね。お父様へのメッセージ・フォトシネマを作ろうと思ったきっかけを教えてください。

——父親の80歳のお祝いのプレゼントを考えながら家電量販店に行った時に、偶然フォトシネマに出会いました。当初は、デジタルフォトフレームに孫の写真でも入れて送ろうかと思ったのですが、フォトシネマを知り、親父にフォトシネマを贈ろうと思い付いたのです。即買いだっ
たのを覚えています。

プレゼントをフォトシネマにすると決めて、どんなところにこだわりましたか?

——昔の写真をスキャンしたり、動画を撮影したり、結構大変でしたが想いを込めて作りました。普段は離れて暮らしている親父と話をする機会も少なく言葉足らずですが、昔、病弱だった私を、厳しく大切に育ててくれた親父に、ずっと言えなかった気持ちが少しでも伝わればいいなと思いました。来年は母親が80歳をむかえます・・楽しみにしてろよ、おふくろ。

完成したフォトシネマをお父様にプレゼントされていかがでしたか?

——離れて暮らしているので聞いた話ですが、涙を浮かべていたそうです。そして、何度も何度も見ていたそうです。どうも3分では短かったようで、長編を作って欲しいような要望があったそうですが、作っていません。なんたって3分だから感動するのですから。
1ヶ月後に実家に行ったとき、親父から「ありがとうな」と言われました。「うん」と答えただけでしたが、お互い、気恥ずかしかったのを覚えています。母親や妹そして家族からも、曲がいいね、とか、文字と曲と写真の組み合わせが絶妙だね、とか、動画が効果的などと、専門家もどきの好評価。私、プロになれますかね。(笑)

カメラがお好きのことですが、普段どういったものを撮影することが多いでしょうか?

——子供が小さい頃は、子供を中心に撮影していました。子供の成長や家族旅行などを撮影するのがとても楽しみでしたが、ここ1〜2年は風景を撮影する機会も多くなってきました。鎌倉や江ノ電、湘南海岸、三浦半島、箱根、富士山など案外近くで撮影しています。 撮影した作品は、レタッチして自宅に飾ったり、フォトシネマを制作して楽しんでいます。

それらの写真をフォトシネマにするのはどんなときですか?

——自分の想いを伝えたい時にフォトシネマを制作しています。風景写真などは、撮影後にレタッチしてから、大きくプリントアウトして眺めるのが最高ですが、写真にメッセージを表現することはできません。
フォトシネマは、作り手の想いをメッセージと音楽に込めることができるので今回の応募作品をはじめ、子供の成長や旅行など特に家族をテーマにした作品を制作し楽しんでいます。
今だけでなく、子供が大人になったとき、自分が老いた時に再生したらどんな感動があるのだろう・・・とても楽しみです。


「自分の想いを伝えたい時にフォトシネマを作る」—。
まさにそんな想いが詰まった、感動の名作フォトシネマでした。
お母様のメッセージ・フォトシネマもぜひ観たいです!ありがとうございました。

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審査委員長特別賞

夢を追いかけて AYAKO TABO 享年25歳

作:yuko tabo 制作期間:3日12時間
楽曲名:Mermaid Blood 使用カメラ:HITACHI/MEGAPIXEL

作品紹介:
昨年の12月、ロンドンで音楽活動をしていた姉が亡くなったという連絡が突然入り、家族全員が受け入れられない悲しみの日々が続きました。しかし、彼女の人生を見つめ直すと、短い25年という時間の中で、たくさんの仲間と出逢い、愛に包まれ、精一杯生きていたことを知りました。そして、常に前に進もうとする姿は、多くの人に勇気やパワーを与えていたことを知り、彼女の存在が、出逢った人の人生に多くの意味を持ったことだろうと思います。生きた証として、彼女の音楽を少しでも多くの方に知ってもらえたら嬉しいです。曲はロンドン大学「ゴールドスミス」在学中の作品。ミュージカル「Mermaid Blood」で音楽監督を務め、作曲、演奏をした曲です。

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審査員コメント

このフォトシネマ作品からは、言葉にできない沢山の想いが伝わってきます。
深い悲しみとそれを乗り越えて生きることの意味、そして生きることの素晴らしさを教えてくれた気がします。僕らのソフトが、このかけがえのない思い出を残す手助けが少しでもできたならば、モノの作り手としてこれ以上にありがたいことはありません。(平野友康)

インタビュー

亡くなられたお姉さまへのフォトシネマを作ろうと思ったきっかけを教えてください。

——今回フォトムービーを作ろうと思ったのには、実は大きな理由がありました。
それは、姉が日本に1〜2カ月程帰国する予定になっていたので、その時ふたりで一緒に作品を作る計画を立てていました。
私がデザインの勉強をしてきて、姉が音楽をずっとやってきていたので、「目で見る世界」と「耳で聞く世界」を組み合わせた何かを、
ふと作りたいと思ったのがきっかけです。
どのような作品にするか、電話で冗談を言いながら色々話をしていましたが、帰って来るはずのちょっと前に、姉は還らぬ人となり、もう2度と何かを一緒にすることも出来ないと思っていました。
しかし姉が生きた証として、この作品を作ろうと思ったのです。

フォトシネマに使われている楽曲は、お姉様が作曲し、演奏されたものだそうですね。

——この曲は、彼女が「Mermaid Blood」と言うミュージカルのために作ったものです。
私が彼女の作品の中で、一番彼女の内面の優しさを感じる曲だったので選んだのですが、あとから聞いた話でこのミュージカルが奇しくも命に関する物語で、「命の大切さ」「誰かのために生きる」ということについて描かれている作品だと知りました。
亡くなったあとではありますが、私はこの作品を姉と一緒に作った作品だと思っています。

このフォトシネマは、映像の構成がとても工夫されています。構想はあったのでしょうか?

——映像編集等は全く経験が無いのですが、プロモーションビデオなどにすごい興味があり、映像が持つ力にとても魅力を感じていました。
フォトシネマを作ったのは、実は今回が初めてでしたが、思い出として残すだけではなく、見た人に何かを感じてもらうことで彼女の人生がまた意味のあるもののような気がして、何を伝えたいか、彼女のどの部分を描くか、どうすれば表現出来るかを、頭の中でいくつもパターンを出してから作成に取り掛かりました。

「写真を動画にする」フォトシネマには、どんな役割があると思われますか?

——「ストーリー」を描けると思います。
「写真」「動画」「言葉」「音楽」それぞれに込められた思いや意味が合わさることで、より強く伝えたい思いを形に出来ると思います。

作品が完成してみて、いかがでしたか?

——この作品を作るにあたり、姉の友人のおかげでたくさんの写真を集めることが出来ました。
この写真がムービーになることにより、また言葉が加わり、音楽が流れることにより彼女がどんな場所で過ごし、何を見て、どう生きたのかを表現出来たのではと思います。

ツールとしての役割を超えたフォトシネマに出会うことができたことに、感謝を申し上げます。ありがとうございました。

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独自の視点賞

虫さんとわたし

作:渡部純世 制作期間:1日4時間
楽曲名:TM:Litttle Trees 使用カメラ:CANON/EOS kiss X3

作品紹介:
canonのレンズ【 EF100mm F2.8Lマクロ IS USM】 を購入したので、マクロレンズならではの世界観で撮影。
人間のネガティブな気持ちと、昆虫や植物のたくましさの対比の表現したつもりです。
落ち込む事があっても、マイペースでがんばろう!という気持ちで製作致しました。

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審査員コメント

写真というのは、撮る人、それぞれが持っている「モノの見方」だと思います。
渡部純世さんの「虫さんとわたし」は、動画まで含めて全編マクロ撮影という点も非常に独自性が高く、身近な小さき者たちへの温かな視線や、それを自らの生活と対比させて心情を描き出している点に惹かれました。
また、映像とほのぼのとした音楽とのマッチングもぴったりで、全体としてよくまとまっています。(大谷和利)

インタビュー

フォトシネマを作り始めて8年と言う、ベテランさんならではのユーモア溢れるオリジナル作品ですね。

マクロレンズならではの世界観を表現してみました。
人間のネガティブな気持ちと、昆虫や植物のたくましさの対比の表現したつもりです。落ち込む事があっても、マイペースでがんばろう!という気持ちで製作致しました。

写真をフォトシネマにするのはどんなときが多いですか?

旅行や結婚式の写真など、人に写真を見てもらう時が多いです。また贈り物にすることもあります。
ストーリー性を持たせて、分かりやすく見てもらえますので、写真をダラダラと何枚も見てもらうよりも感動的に見てもらえます。
動いているので写真も上手くみえますし・・・(笑)

たくさんの写真を紡いでいくフォトシネマの魅力とは何でしょうか?

写真を撮った後の見せ方、表現方法が大きく変わったと思います。
額装で見せる、製本して見せるに加え、動画で見せる表現方法が増えました。
静止画に動きを与える事や、音楽を重ねる事により印象深い作品に仕上げる事ができます。
デジタルカメラをはじめ、Web、DVDなどのデジタルな環境の整った現在フォトシネマは強力な表現ツールだと感じています。

これからもアイデアが光る素敵なフォトシネマを作ってください!ありがとうございました。

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