DS NEWS - DIGITALSTAGE MAILMAGAZINE [Number] 190 [Date] 2011.10.11
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[DS_NEWS]
トピックス1 坂本龍一氏被災地レポート&OPENERSインタビュー
トピックス2 美術家・奈良美智氏の映像作品を発表しました
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みなさん、こんにちは。デジタルステージ平野です。
今日で3月11日の東日本大震災から7ヶ月が過ぎました。
僕はあの日からいろいろな意味で自分自身の判断基準が変わり、実際に日々の生活も変化しました。
この甚大で悲劇的な自然災害とそれに起因する原発事故という人災は今だに解決の目処が立たず、不安な日々が長く続いています。
そんな中、大きな被害に遭われた方々へ少しでも支援できないかと、坂本龍一さんと一緒に、被災地の一日も早い復旧・復興を支援するために立ち上げたプロジェクトが「kizunaworld.org(キズナワールド・ドット・オルグ)」です。

今日のメルマガでは、僕、そしてデジタルステージのスタッフ全員が一丸となって進めているこのプロジェクトを改めて紹介させていただきたいと思います。
「kizunaworld.org」は、みなさまから一口1000円からの寄付をしていただき、そのお礼として日本、そして海外のアーティストの音楽や映像、写真作品などをダウンロードによって提供しているチャリティプロジェクトです。
今日公開された奈良美智さんの映像作品 "studio days"を入れると、すでに13作品が集まっています。

なぜ坂本龍一さんと僕らがこのプロジェクトを始めたかというと、震災直後、僕は「この震災に対してソーシャルメディアで何ができるだろう」ということを考えていて、坂本さんは「自分の音楽作品で何ができるだろう」と考えていました。そこで二人で出した答えが『プロダクションでもレーベルでもなく、アーティスト個人でできることをやろう』ということでした。坂本さんは個人として<音楽>が創れる。僕は<サービス>が創れる。だったら、音楽や映像などのダウンロードサービスを通じて、ずっとずっと長く続けられるプロジェクトにしていこう、と思い立ったのです。
そして本日、この「kizunaworld.org」のサイトがリニューアルしました。
より多くの人にこのプロジェクトを知っていただきたいのですが、このプロジェクトはボランティアで運営されているため、この活動を広めるにはみなさまひとりひとりの口コミに頼るしかありません。そこで今回のリニューアルでは、FacebookやTwitterを通じて13作品それぞれの感想を書き込んでいただける仕組みを組み込みました。
もし僕らのこのプロジェクトに興味を持っていただけたら、どうぞ感想をお願いします(各作品のページにFacebook対応の掲示板があります)。
また、サポーターのページでは、寄付の有無に関係なく「いいね!」をクリックしていただくことで、このプロジェクトへの支援を表明していただけます。
僕らは、一人でも多くの方にこのサイトに来ていただきたいと願っています。
よかったら、新しい「kizunaworld.org」のサイトへ、お越し下さい。

また、この「kizunaworld.org」を始めるに至った経緯やその裏側などについて、雑誌『GQ JAPAN』に取材をしていただいて、このプロジェクトがどう生まれてどう運営され、そして何処を目指すのかについて僕が話をさせてもらいました。
興味を持ってくださった方は、ぜひこちらもチェックしていただけたらとても嬉しいです。
東日本大震災被災地支援プロジェクト "kizunaworld.org"
東日本大震災被災地支援プロジェクト『kizunaworld.org』
ちなみにこのGQ Japanのインタビューで書かなかったことをひとつ。
このサイトの運営自体はBiNDを使って社内で全部やっています。ボランティアなので大人数ではできない。予算もかけられない。でも少数でフットワーク軽くやっていきたいと思ったときに、それを実現できるようなソフトをこれからも手がけていきたいと改めて感じました。
そういう意味では、ホームページ作成だけではなく、まだまだ様々な分野で「少数での手作り支援」のソフトやサービスというのは足りていないな、と思います。
このプロジェクトをきっかけにして、僕ら自身も、世の中にある様々な支援プロジェクトやNPO、ボランティアのみなさんの活動にとって「何が足りていて、何が足りていないのか」、実経験を通じて学び、そして提案していくことで、世の中を少しでも良い方向に変えていくお手伝いができたら、と考えています。

テクノロジーを通じて、僕らなりに世の中に貢献出来ることは何か。
その答えをこれからも探していこうと思います。

それでは、今週はこの「kizunaworld.org」特集号です。行ってみましょう!!
GQ GQ

雑誌GQ10月号に、kizunaworld.orgに関する平野のインタビュー記事が掲載されました。
「音楽とソーシャルでつなぐ個人同士の絆の物語」

YMOが表紙を飾った雑誌「GQ」10月号に、kizunaworld.orgに関する記事が掲載されました。そもそも、kizunaworld.orgがどんな想いで生まれたプロジェクトなのか、坂本龍一氏と平野のプロジェクトへの関わり方や今後の方向性について平野がインタビューに答えました。
GQ10月号を購入する 記事を読む
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坂本龍一氏が見た、被災地の今。 311から半年後の被災地レポートを公開
坂本龍一   311から半年たったが、東日本はまだまだ「復興」からはほど遠い。

この夏、私は被災地の一つ、陸前高田市を訪ねた。
ここは壊滅的な被害を受けた所である。

毎日のようにここの映像を見ていた私も、実際にこの目で見て初めて「壊滅」とはこういうことか、と衝撃を受けた。
広大な市にポツポツと残っているビルも、近寄ってみると全く使いものにならないことが分かった。

復興するためにはこれらの残ったビルを全て壊さなくてはならないが、そのためには約17億円かかるそうだ。しかし、国からも県からも支援は来ない。税金も今までと同じように徴収できるとは思えない。
市のトップの戸羽市長は津波で奥さんを亡くされ、市役所職員68名、嘱託職員を含めると106名が亡くなり、市庁舎も壊れた。

ビルを壊し、整地し、都市計画を一からやり直し、造成して少なくとも市の半分を山に移さなくてはならない。いったいどのくらいコストがかかり、それを誰が負担するのか。

被災し家を失って避難している人たちのほとんどは、職も失った。
会社ごと津波に流された人も多い。
しかし半年を過ぎると失業保険が切れる。いったいどこで働けばいいのか。

私たち一人一人ができることは小さいが、まだまだ長期的に支援していく必要があると改めて思う。

陸前高田市の海岸にあった7万本の松のなかで、たった1本残った松の木は、タルコフスキーの最後の映画「サクリファイス」のなかの「生命の樹」のように、ひょろひょろと頼りなく立っていた。

2011年7月18日 陸前高田にて
坂本龍一
  坂本龍一
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[web magazine OPENERS]インタビュー 教授、kizunaworldを語る。
Text by OPENERS
坂本龍一氏が、メディアクリエイター 平野友康氏とともに立ち上げた、東日本大震災の被災地復旧・復興を支援するためのプロジェクト「kizunaworld.org」。坂本氏とゆかりのあるさまざまなアーティストから作品提供を受け得られた収益や寄付を、長期的に被災地の復興に充てていくというものだ。医療、子ども、食料、住宅、エネルギーという5つのテーマをもうけ、それぞれのテーマに取り組んでいる5つの団体に寄付するというスキームが特徴である。すでに16人のアーティストによる12 の作品が展開されている同プロジェクトについて、立ち上げるにいた経緯から参加アーティスト、そしてこれからについて聞いた。

奈良美智さんの作品も登場

──震災から約2カ月後の5月にkizunaworld.orgを立ち上げられるわけですが、そこにいたる経緯、心境をお聞かせ下さい。
坂本龍一 坂本 震災直後からどういうことができるか、つねに考えていました。
4月にはニューヨークでチャリティコンサートに出 演したり……。でもそういう一過性のものではなくて、長期的に持続的に取り組んでいくことが必要だなと思っていました。
このkizunaworldと、7 月に発表した、被災地の子どもたちの楽器を修復する「School Music Revival」プロジェクト。
このふたつは、自分が音楽家として、音楽にかんすることで援助できないかと思ってスタートさせたものです。
kizunaworldのほうはアート全般にかかわることですが、この二本柱で取り組んでいこうと思います。
──kizunaworldには5つの寄付先がありますね。

坂本 たとえば、日本赤十字など大きな団体に寄付して終わり、というやり方も悪くはないんだけれど、やはり歯がゆくてね。実際に被災地に入って具体的に活動しているNPOに寄付したいと思ったんです。ただ、ひとつのNPOが生活全般について支援するのは無理なので、規模が小さくてもそれぞれの分野に特化した団体に寄付することにしました。

──アーティストのセレクトについてお聞かせいただけますか?

坂本 思いつくままにというか、声かけやすいままに(笑)。(クリスチャン・)フェネスや、(デヴィッド・)シルヴィアン、カールステン・ニコライなど、以前から友達で共演したこともあるアーティストもいれば、アイスランド人アーティストのオラファー(・アーナルズ)のように今回がはじめてのひともいます。アトム・ハートも、すごく前から知り合いではあるけれど、一緒になにかするのははじめてですね。

2003年のイラク戦争のさいに試みた「CHAIN-MUSIC」というプロジェクトのときもそうだったんですけど、友達が友達を呼んで、輪が拡がって いって、まったく知らないアーティストたちと知り合うことができる。今回も、「CHAIN-MUSIC」の経験が役に立っていますね。

──自然なかたちで友達の輪が広がっていくわけですね。

坂本 じつは、今度は奈良美智さんが作品を提供してくださることになったんです。それも偶然というか、8月2日の二期 倶楽部でのコンサートを観に来てくれたのがきっかけで。彼が那須に住んでいるので遊びに来て下さいって誘ってくれて、うかがったときに kizunaworldの話になったんです。こんなふうに計画性はなくて、思いつくままに声をかけてというかんじですね。
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Kizunaworld,orgの新作紹介 美術家・奈良美智氏のスライド作品を発表

kizunaworld.orgが今回発表した新しいアーティスト作品は、美術家・奈良美智氏の映像作品。
奈良美智氏が作品をてがけるスタジオでの制作風景と作品群を映像に取りまとめたもので、普段は見ることのできない特別な空間を感じることができる作品です。皆様からの温かいご支援をお待ちしております。

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<奈良美智氏について>

1959年、青森県弘前市生まれ。日本を代表する美術家・彫刻家。子供や動物を機知に富んだ方法と堂々とした成熟した表現で描く作品でよく知られる。様々な素材を用いた絵画、彫刻やドローイングは、カワイイ、キュートな印象を与え、若者から大人まで世代を越え様々な人から支持されている。
  奈良美智
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